ハロウィンと夜の物語について~ハロウィン~

Sound Horizonのニューマキシが出てしばらく経ち、恒例の「作品解釈」がたけなわですので、わたしもちょっと覚え書きを作ってみようと思います。歴史的な背景とか歌詞の意味などについてはもうすでにいろいろなところで詳しく解釈されているので、私は素直に物語として聞いてみた感想みたいなものを書いていこうかと。

 全部要約すると、アメリカでゴールドラッシュだの何だのがあった周辺の時代が舞台で、メインとなるのはアイルランドから移民してきたリヴァモアという一家の人々。兄ちゃんは早くからアメリカに渡って仕事とかをし、妹に仕送りをしてたんだけどある夜刺されて死んじゃって、故郷で結婚した妹は兄を追いかけて夫と供に身重の身体で長い船旅をし、生まれてきた病弱な子供を育てながら暮らしている、というお話し。子供はレニー(レナード)という名前で、山間の街に移り住んだあと友達ができ、ハロウィンをすることになったんだけど、どうやらその夜死んでしまったらしい。

 今回はハロウィンがテーマなので、ちと調べてみましたが、ハロウィンはまさに、アイルランド系移民と供にアメリカへ渡ってきた文化だそうです。元々はアイルランドの行事で、収穫が終わったあと、あの世との門が開く日にこっちへやってくる悪霊とか死んだ人達をおっぱらうための日なんだそうで。死んだ人が戻ってくるのは日本のお盆みたいですが、あっちの考え方では死者はたとえ身内といえどあまりいいものではないみたいですね。

 ケルト人のお祭りだったのが、カトリックに改宗していく過程で教会が吸収していったようですね。もともと「諸聖人の日」というがあったのを、ハロウィン(10/31)の次の日である11/1に持ってきて、前夜祭みたいな感じに設定したのだそうです。ちなみに「諸聖人の日」が「万聖節」、歌詞でも「ハロウィン」とルビ振られてますね(万聖節の前夜=ハロウィン)。万聖節は何をする日かというと、殉教したすべての人および聖人をいっぺんにお祝いする日です。翌日の11/2は「死者の日」で、すべてのキリスト教の死者のため祈りを捧げる日。日本語では万霊節。ちなみに、この辺の行事はキリスト教でも宗派とかによってやったりやらなかったりします。ハロウィンも宗教行事ではありません。ロシア正教では禁止してるそうな。

 なんでお菓子をもらいに行くのかというと、これはキリスト教のほうの影響らしいですね。「souling」という習慣がヨーロッパにはあって、万霊節にキリスト教徒は「魂のケーキ」という四角いぶどうの入ったケーキを持って歩き、なくなったらその辺の家で物乞いをしてたんですが、その際「この家でなくなった方のためにお祈りをします」と約束していたんだそうです。で、これが、死者の霊のために食べ物とかワインを残しておくという古代の風習に変わるものとして、キリスト教で奨励されたそうな。

 まあ起源は古いお祭りですね。でもアメリカに入ったのは19世紀、アイルランド移民が大量に入っていったことからです。当時はアイルランド人コミュニティの中だけでやっていたのが、だんだん広まっていって、東海岸から西海岸へと伝わっていきましたが、それでも完全に知れ渡るには20世紀初頭まで待たなければなりませんでした。

 で、話をCDに戻すと、ゴールドラッシュとかが出てきているように、時代は19世紀です。一曲目で死んだ男はどうやらアイルランドの「ジャガイモ飢饉」の際の移民のようなので、時代はもっと絞れて1845~49年の間。ハロウィンがアメリカに入っていったであろう時期と合致しますね。

 この作品は、リヴァモア家の出来事であると同時に、ハロウィンの歴史を辿るものでもあるのです。だからアイルランド系なんですね。

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八谷 響@エルス

Author:八谷 響@エルス
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