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ハロウィンと夜の物語~キャスリーン・リヴァモア~

 いろいろあって間が開いてしまいました。すみません。陛下紅白出場おめでとうございます。当日はテレビの前にかじりつく所存。

 さていよいよ最後の曲ですが、長くなりそうなのでいくつかに分けていこうと思います。まずはこの曲の歌い手であるキャスリーン・リヴァモアについて。

 結婚し、夫とともにサンフランシスコを目指したアイルランド人の女性であることは、歌詞から窺えます。例のジャガイモの飢饉を乗り越えたのは兄が仕送りをしてくれたおかげ。しかし、兄の消息は途絶えてしまった。それを追いかけてアメリカへ渡ってきたようです。この「兄」というのが、一曲目に出てきたカボチャ男さんことウィリアムだかシェイマスだかわからん男さんらしいことは、両方の曲歌詞の端々からも窺えます。「星の綺麗な夜」でも、妹へ仕送りをし続けた云々と言うことが語られていますし、時期も合いますしね。彼が最後にいた場所が恐らくサンフランシスコであろうことは該当記事で触れたので詳しくは語りませんが、たいてい人を探す時はその人の情報が一番最後に途絶えた場所へまず向かうと思うので、キャスリーンが最初にサンフランシスコを目指した理由が、まさに兄の頼りが一番最後に来た場所だったことと考えるのは不自然ではないでしょう。

 キャスリーン(ケイト)は、夫と一緒に海を渡ったようですが、歌詞からするとちょうど航海のときは妊娠中だったことが窺えます。五人に一人は死ぬような船旅ですから、妊婦さんにとってどれほど危険で過酷だったことか……。その影響なのかは定かではないものの、難産の末産まれた子供はとても病弱で、心臓に疾患があったらしい。そんな事情なものだから、両親としてはできる限りのことをしようと思うのは自然なことですね。病床の息子が寂しくないよう、庭には花を植え絵本を読んであげ、常にそばにいるようにして親子三人寄り添うようにして生きてきた。

 サンホラ的には絵本ってあまりいい象徴じゃないんですが、あと花も踏みにじられたりしますが、花に関してはそれほど悪いものではないと思うんですよね。「moira」で花は運命に翻弄されて散ってしまってもそれをむしろ愛し肯定するように生きるという象徴で描かれていたと思いますし。ソフィーせんせー。

 そして月日が流れ、ある日彼女は息子の命の限界をお医者様に告げられる。さんざん悩んで「最後のハロウィン」への息子の参加を許したが、その結末は半ば覚悟していたものだった。

 というのが大まかなケイトの物語です。曲の冒頭がちょっと不気味だったり、歌全体にやはりどうしても悲壮感が漂うので、あとサンホラの曲だからというのもあるけど、どうしても不吉な背景を想像してしまう人も少なくないのでしょう。だってサンホラだから。特に、歌詞カードに書かれていない歌詞があったのに気づいた時は私もちょっとどきりとしました。何で書いてないのかという理由がやはり落ち着かないですね。しかし、歌い手さんの表現や歌詞や、そういうのをすべて含めて「物語」を読み解かなければならないと思うので、いたずらに不吉な方向へ持っていくのではなく、なるべく虚心坦懐に進めていこうと思います。いちおう物書きの端くれですので、サンホラーとしてではなく、小説を書くものとしての視点で読んでいこうかと。

 まず、そういう視点で曲を聴いて感じるのは、ケイトという女性がいかに息子レニーを第一に考え、優先しているかと言うことです。母親なら当たり前という以上の、悲壮なまでの義務感というか責任感というか、強い意思を感じます。これがどこから来るかというのは、やはり単純に考えてレニーの身体の弱さであると言えるでしょう。母体の健康状態などは、胎内の子供に強く影響します。現代でも妊婦さんは定期検診に行ってお医者さんに相談したり、風邪を引いたりしないよう健康に気を配ったりと大変です。あと体重の制限とか。なのに、彼女はその大事な時期を過酷で長い船の旅で過ごしており、それが息子の身体を弱くしてしまった、と責任を感じてしまったであろうことは容易に想像できます。夫のショーンはかなり愛情深くて感情表現が大きく、優しい人柄であろうことも見て取れますし、そういう夫に対しても申し訳ないと思ったのではないでしょうか。だからこそ、彼女にとってレニーの幸せこそ何よりも叶えなければならない大切なこと、使命と呼べるほどの重要事項であるといっても過言ではないのでしょう。

 そんな母であれば、寝たきりの息子の狭い世界が彩り豊かであるようにたくさんの花を植え、動けない息子をせめて想像の世界へ旅させてやりたいと絵本を読んであげるのは当たり前ですね。

 生まれてきてくれてありがとう、パパとママにしてくれてありがとうと子供に言えるお母さんなのだから。

開運帖 2013年12月号

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[編]イースト・プレス

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「かなりあ」という作品で掲載されました。
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Author:八谷 響@エルス
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