ハロウィンと夜の物語~眠る前の三秒~

 「おやすみレニー」の最後の台詞、ケイトの「あなたが眠る前の三秒でいいのです」の下り。音楽がいきなり途切れ、「おやすみ、レニー」という言葉の「レニー」の部分は右側=サンホラ的には死を表す側から聞こえるということもあり、何となく不安な印象を与える箇所です。

 とりあえず「眠る前の三秒」というのに何かおまじないのような意味がないのかと思ってざっと探してみましたが、なんも出てこなかったです。ちょっと気になったのは、ブログ記事ですが「眠る前の三秒の間に、その日一日の出来事を感謝して眠るようにしている」という内容でした。眠りに就く前の三秒間で、それまであったいいことを考え、「自分は幸せだった」と思うようにしていれば、たとえ翌日になくなったとしても悔いは残らないし、幸せな気持ちでいることができる。そしてそれまでの人生で関わった人に感謝することで、心にけじめをつけることができるというような内容でした。

 ライブ曲ですが、「遺言」に通じる部分がありますね。「明日いなくなるかもしれないから」ありがとうと伝えるのだという名曲。

 レニーにおやすみをいうのがどう関わるかというと、ケイトの台詞「すべての哀しみや憎しみを忘れて」でしょうか。レニーの寝顔(死に顔)は笑っていたのですから、彼の人生は彼にとって満たされたものだったのでしょう。そんな幼い少年に告げる「おやすみ」は、ただただ優しいものでなくてはならない、という想いにも聞こえます。まあ確かに、普通に毎日寝る時にぶっきらぼうに「おやすみ」いわれても腹立ちますもんね。夜のご挨拶は気持ちよく交わしたいものです。寝る前にいらいらすると翌朝もいらいらしてる気がします。

 ケイトは、レニーが「終われなかったハロウィンの続きをしている」と考えています。ハロウィンが終わると、死者は冥府へ帰らなければならなくなります。そしてハロウィンの翌々日は「死者の日=万霊節」ですべてのキリスト教徒の死者のために祈る日です。仏教でもそうですが、死んだ人の魂がうろうろしてるのはあんまりいいこととは見なされてませんね。まあキリスト教は魂とか霊に関してまだ論争続いてるようなので割愛。でもそれを抜きにしても、死んだ人が安らかに眠っていてほしいと思うのは世界共通のことではないかなと思います。だからこそ、「右側からのおやすみ」なのではないでしょうか。

 サンホラにおける「母」というのは、子供を全肯定し子供の意向を完全に叶えようとする傾向があるように思います。命をかけて子供を産んだであろう11文字の伝言の母、屋根裏の母も、根底にあるのは「子供を産む=どんな方法でも生かす」意志だったようにも考えられます。そしてテレーゼもそうですし……。そう考えるとちょっと怖いのが、レニーの死をケイトがどう受け止めるかという決定的な出来事ですね。ケイトが「誰のことも恨まない」と決めることができたのは、「あの子(レニー)の寝顔が笑っていたから」。つまり、寝顔が笑ってなかったら、神もジョニーも自分達も含めて、「さあ、復讐劇を始めようか!」ってなっていたのかも……。

 クリスマスイブなのにまだハロウィンとかいっててごめんなさい陛下_| ̄|○
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テーマ : Sound Horizon
ジャンル : 音楽

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八谷 響@エルス

Author:八谷 響@エルス
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